なんで冬の寒い時期に宗谷岬?
道民の人にも言われた。「冬に北海道来る内地の人の気がしれん」
実際、行く前、少しは命の覚悟はしている。
まぁ、どこにいく場合も事故とかはつき物なので、それなりに覚悟はしているんだろうけど。冬の北海道となると覚悟の具合もちょっと強め。
持病の具合が悪化した場合、船や飛行機なら多分ヤバ目だし、北海道なら、病院搬送間に合わない場合もあるだろう。
札幌や旭川みたいな都市部ならなんとかなるだろうけどね。まぁそれは本州でも同じだろうけどね。
そうまでして何故、冬に車で行くようになったのか…
あれはまだ犬達が生きていた頃。
夏の北海道に連れて行ってやりたかった。どこまでも続く原っぱ。エキノコックスのリスクはあるけど、自由に走らせてあげたかった。
フェリーでペット可能なのは知っていたけど、ペットルーム。しかも夜間は施錠。
インスリン注射していて急変する可能性のあるウチの犬達にはとうてい無理だった。
犬が居なくなって、正月暇で。
「そういや北海道連れて行ってあげたかったなぁ。」
そう考えると、色々な考えがめぐってきた。東西南北の端っこに犬達の骨を少しずつ埋めると、どこを向いても犬達がいるやん。まるで結界を張ったかのように。
この考えは、埋めたら最後、遠すぎて2度はそこには行か(け)ない気がするので可哀そうでやめたけど。
もうひとつ。
あの世というものがもしあるならば、それは手の届く所のほんの少し先にあるんだと考える。
いまなら背伸びをして手をいっぱいに伸ばした数センチ先。脚立にのってもそう。
車なら車でいける端の少し先。飛行機なら上昇高度限界の少し先。ロケットなら…
もう少しで手が届きそうなんだけど絶対届かない所。
そう思うとその端っこに行ってみたくなった。冬の南や西の「楽していけそう」な端には興味はなかった。
夏に行く北の端にも興味はなかった。辛いといわれる季節、自分の所有する一番しんどそうな車、ヨンクではない、調子の良くないVDCはおろかLSDさえも着いてないただの3速ATのFRのエブリィで本州縦断して。そうやって苦労して北の端にたどり着いて、その数センチ先を見てみたかった。
行ってみて。
「あいつらここにはおらんわ。寒いの嫌いだったし」と思ったw
でも、冬の北海道が好きになった。
だけど、なんで何度も行くようになったんだろう?
何処までも白と黒で構成された景色。色がない。
-20℃に近い路温標示。黒いアスファルトが出てると思っていて降りて確認するとただツルツルの氷。
-20℃近いと氷は実は滑らないという織田裕二もCMで言ってた現実。
セイコーマートっていうコンビニしかない街。馬鹿ほど寒いのに馬鹿ほど売ってるアイス。
スーパーの棚を一列占領している大量のかりんとう。
ダウン2枚重ねな俺の横を、大阪でも真冬には着ない軽装で歩いている道民。
道民のドライバーが言う、「最悪の事態に備えて、食糧と水と保温の為の準備をしとけ」
15時にはもう薄暗い空。札幌市だけで毎日一億円もかかる除雪費用。
そう、全てが俺にとっては「非日常」。いや、「異界」と言っても過言ではないだろう。
ある意味、一番近い異世界。
夏の北海道は涼しくていいという。でもここでクーラー利かせた部屋でも気持ちいいよ。
ここの春先でもいいじゃん。ぽかぽかして。一斉に咲く花は体験できないけど、それ以外はなんとかなる。
でも、冬の北海道は「異界」だ。ここでは味わえない。
宗谷岬。
岬っぽくはない。突端感はない。緩やかな岬。すぐ近くにたくさんの集落もある。
しかも、観光化の為に、駐車場を造る為に最北端から少し埋め立てて駐車場を造った。その先に最北端の碑を置いた。
すこし「がっかり名所」的な岬。どうせ埋め立てるんだったら、もうちょっと突端感を出してもう100mほど沖まで埋め立てて緯度で3秒差の弁天島を超して実質上の最北端にするとか、がんばってあと43km埋め立てるとサハリンなのに。
+の場所辺りが「旧最北端」
でも、なんだか魅力的なんだよなぁ。「取り憑かれた」のだろうなぁ。
でも、一番最初にFRのエブリィでたどり着いたときが一番感動したと思う。
だんだん感動は薄くなってるのかなぁ。まぁだんだん車が良くなったり、今回なんて飛行機+列車+レンタカーだもんな。
今度行くなら、弟君のランドローバー借りて行こうかなんて考えてるしな。
次は過酷にするのがいいのだろうか。そうすればまたあの「たどり着いた」感を取り戻せるのだろうか。
でも、今度行くなら2月後半にしよう。なんかイベントも多いし、流氷確立も高いし。雪も多いし気温も低いし。
冬の北海道ツーリング2010 稚内~サロマ湖
2月16日(火) 晴天